21.7.11.

エゼキエルは、干からびた骨が生き返る幻を見ました。これは、どのような意味の幻だったのでしょうか。

1.主の霊によるイスラエルの回復

エゼキエルは「谷間」に「骨が満ちて」いる幻を見ました(1)。そして、「その谷間には非常に多くの骨があり、ひどく干からびて」(2)いました。「これらの骨はイスラエルの全家」(11)、すなわち滅ぼされてしまった北イスラエル王国と南ユダ王国を表していました。この時、北イスラエル王国はアッシリア帝国によって滅ぼされ、南ユダ王国もバビロニア帝国によって滅ぼされてしまいました。それは、ユダヤ人たちが何度も神に背き、罪を犯し続けて来たからです。その状態は「ひどく干からびて」いて、もう二度と回復することのない状態でした。

神は、エゼキエルに干からびた骨に預言するように言われ、エゼキエルはその通り預言しました(5)。すると、「大きなとどろき」と共に「骨と骨とが互いに」つながりました(7)。さらに、「その上に筋がつき、肉が生じ、皮膚がその上をすっかりおおった」(8)のです。しかし、「その中に息は」(8)まだありませんでした。そこで、神はエゼキエルに「息に預言せよ」(9)と言われました。エゼキエルが「息よ。四方から吹いて来い。この殺された者たちに吹き付けて、彼らを生き返らせよ」(9)と預言すると、「息が彼らの中に」入り、「彼らは生き返り、自分の足で立ち上がった」のです(10)。

これは、滅ぼされたイスラエルが回復されるという意味です。神はご自身の御霊によって、イスラエルを回復し、彼らを再びイスラエルの地に連れ戻されるのです(12、14)。この幻は、70年後、ペルシヤ帝国の時代に成就しました。ユダヤ人たちは、再びイスラエルの地に戻り、エルサレムを建て直したてのです。しかし、その約600年後、AD70年、エルサレムはローマ軍によって破壊され、再びイスラエルは滅ぼされ、ユダヤ人たちは世界に離散していきました。しかし、1948年、イスラエルの国は再建したのです。約1900年間干からびた骨の状態、墓の中から、イスラエルは生き返ったのです。

しかし、イスラエルが完全に生き返るのは、将来においてです。キリストの再臨の時、千年王国(メシア王国)が成就する時です。イスラエルの回復は、主の息吹によってもたらされます(5-6、9-10)。この「息」とは神の「霊」、聖霊のことです。神は、ご自身の御霊によって、イスラエルを回復されるのです。ですから、私たちは、イスラエルが回復するために、聖霊が働いて下さるように祈らなければなりません。

2.主の霊による霊的な命

クリスチャンたちの中にも、霊的に干からびた状態の人たちがいるのではないでしょうか。霊的に干からびた状態というのは、霊的な命と力が失われている状態です。霊的な命と力が失われてしまうと、神に従って生きることが出来ず、肉に従って生きるようになってしまうのです。「肉の願うことは御霊に逆らい、御霊は肉に逆らうからです。この二つは対立して」(ガラ5:17)いるからです。イエスを信じて、霊的に救われ、クリスチャンになっていても、神に従うことが出来ず、肉に従って生きている人たちがいます。その人たちは、「肉に属する人」(Ⅰコリ3:1)と呼ばれています。

人間は、神に似た者として造られ(創1:26-27)、塵によって形作られました(創2:7)。そして、「いのちの息」すなわち神の霊を吹き込まれて生きる者となりました(創2:7)。本来、人間は、神と交わり、神の霊に満たされて、生き生きと生きるように造られているのです。しかし、人間は、神から離れ、神との交わりを失い、神の霊を失ってしまい、肉体的に生きていても、霊的に死んでしまったのです。神との関係を修復するためには、イエス・キリストを信じることが必要です。イエスを信じる時、再び神の霊が私たちの内に来て下さるのです。

イエスを信じる者の内には既に聖霊が内住しておられますが(Ⅰコリ3:16)、みなが聖霊に満たされているわけではありません。更に聖霊に満たされ続けることが必要なのです。パウロはエペ5:18でも、「御霊に満たされなさい」と命じています。霊的な命を失い、干からびた骨になった人を生き返らせるためには、神の御霊、聖霊が吹き込まれることが必要です。イスラエルの回復が主の息吹によってもたらされるように(5-6、9-10)、私たちも神の御霊、聖霊によって、霊的に生き返ることが出来るのです(14)。パウロは、ガラ5:16で、「御霊によって歩みなさい。そうすれば、決して肉の欲望を満足させるようなことはありません」と言っています。

神はエゼキエルに「息に」向かって、「息よ。四方から吹いて来い。この殺された者たちに吹き付けて、彼らを生き返らせよ」と預言するように言われました(9)。すると、「息が彼らの中に」入り、「彼らは生き返り」ました(10)。今、私たちも主の御霊を求め、主の御霊が私たちの内に臨まれ、私たちを満たし、霊的な命と力に溢れさせて下さるように求めなくてはならないのです。主は求める者に聖霊の満たしを与えて下さいます(ルカ11:9、13)。

今は終わりの時代で、私たちの目の前でイスラエル回復の預言が成就しています。更に、イスラエルに聖霊が働き、イスラエルが回復するように祈りましょう。また、私たちは、干からびた骨の状態になってはいないでしょうか。私たちが霊的に生き返るためには、聖霊の息吹が必要です。聖霊の満たしを求めましょう。イエスは、よみがえられた後、弟子たちに「息を吹きかけて」、「聖霊を受けなさい」命じられました(ヨハ20:22)。