ネヘミヤ1-6章

ネヘミヤ6:1-19

21.2.14

ついに「城壁」は建て直され、「破れ口は残されていない」状態になりました(1)。まだ「門にとびら」は取り付けられていませんでしたが(1)、殆ど完成していました。すると、敵対者たちの攻撃は、ネヘミヤ個人に向けられるようになりました。ネヘミヤは、敵対者たちの攻撃に対して、どのように対処したのでしょうか。

1.横道への誘導(v.2-4)

サヌバラテとゲシェムは、ネヘミヤに「つかい」(2)を遣わして、「さあ、オノの平地にある村の一つで会見しよう」(2)と語りかけました。「オノ」は、ヨッパとルダ(ロド)の中間にあり、エルサレムから約45kmの所にあり、ちょうどユダヤとサマリヤのちょうど中間地帯にありました。

しかし、ネヘミヤは、彼らが「害を加えようとたくらんでいた」(2)ことを見抜きました。敵対者たちは、ネヘミヤを一人呼び出して、暗殺しようと企んだのです。これに対して、ネヘミヤは、はっきりと断りました。「私は大工事をしているから、下っていけない。私が工事をそのままにして、あなたがたのところへ下って行ったため、工事が止まるようなことがあってよいものだろうか。」(3)

私たちが主に従い、主の働きをしていると、敵が私たちを横道に逸らせようとします。例えば、祈っている時に他の用事を思い出す、聖書を読もうとしている時に電話が来る、教会に行こうとしている時に友人からの誘いや仕事の要請が来る、など。そのような時に、大切なことは、ネヘミヤのように、きっぱりと断ることです。「今、大事なことをしているので、そんなことは出来ません」と。第一のものを第一にするという優先順位が確立し、雑用に流されないようにするのです。

敵対者たちは、断られても諦めることなく、「四度も」(4)ネヘミヤを誘い続けました。しかし、ネヘミヤも「同じように」(4)断り続けました。敵は、何度でも繰り返して攻撃して来ますから、その度に、明確に断ることが必要です。

2.中傷による脅し(v.5-9)

「サヌバラテは五度目にも同じようにして、若い者を」(5)ネヘミヤの所に遣わしました。若い部下は、「手に…一通の開封した手紙を持って」(5)いました。「開封した手紙」とは、封をしない手紙で、誰でもが読める状態になっている手紙です。それによって、ネヘミヤを苦しい立場に追い込もうとしたのです。内容は次の通り。

・ネヘミヤとユダヤ人たちはペルシヤに「反逆」するために「城壁を建て直している」(6)。

・「うわさによれば」、ネヘミヤが「王になろうとしている」(6)。

・ネヘミヤが「エルサレムで」「預言者たちを任命して、『ユダに王がいる』と言わせている」(7)。

・「今にこのようなことが王に聞こえるであろう」(7)。

そして、サヌバラテは、「さい、来なさい。いっしょに相談しよう」(7)と呼びかけました。

しかし、ネヘミヤは、彼らに「会いに行く」ことも「論じ合う」こともしませんでした。それは、敵対者たちにネヘミヤを襲う隙を与えることになりますし、工事のための時間と労力を無駄に取られてしてしまうことになるからです。ネヘミヤは、はっきりと「あなたが言っているようなことはされていない」(8)と答えました。ネヘミヤは、敵対者たちがユダヤ人たちの「気力」を失わせ、「工事をやめ、中止」させるための「おどし」であることを見抜いていました(9)。そして、ネヘミヤは「ああ、今、私を力づけてください」とただ主に祈りました(9)。

私たちも、主に従い、主の働きをしようとする時、批判されたり、悪意ある噂を流されたりすることがあるかもしれません。そのような時は、いちいち反論せず、はっきりと否定し、後は主に力と助けを祈り求めることが大切です。

3.スキャンダル(不祥事)への誘惑(v.10-14)

ネヘミヤは、「シェマヤの家」(10)に行きました。シェマヤは、ネヘミヤに主からの言葉があるから、家に来るように言ったのでしょう。ネヘミヤが「シェマヤの家」に行くと、シェマヤは家に「引きこもって」(10)いました。そして、シェマヤは、「私たちは、神の宮、本堂の中で会い、本堂の戸を閉じておこう。彼らがあなたを殺しにやって来るからだ」(10)と、おそらく主の御名によって預言しました。

「神の宮」すなわち神殿の中にいれば、敵対者も入って来ることは出来ず、安全です。しかし、ネヘミヤは、シェマヤの勧めを聞いて、「何かおかしい」と違和感を覚えました。神殿に入られるのは、祭司だけで、それ以外の者が入ることが禁じられていたからです。ですから、もしネヘミヤが神殿に入ってしまったなら、ネヘミヤは、律法に違反し、神を冒涜したということで、罪に定められてしまいます。そうなると、ネヘミヤは、指導者の立場を失ってしまい、工事は中断してしまいます。それが、敵対者たちの策略だったのです(13)。

ネヘミヤは、シェマヤの勧めがネヘミヤを罪に誘導する罠であると見抜きました。実は、シェマヤは、トビヤとサヌバラテによって「買収」されていたのです(12)。ネヘミヤは、「今、彼を遣わしたのは、神ではない」(12)と気付きました。それで、ネヘミヤは、「私のような者が逃げてよいものか。私のような者で、だれが本堂に入って生きながらえようか。私は入って行かない」(11)とはっきりと断りました。ネヘミヤは、神の言葉をよく知っていたので、敵対者の策略を見抜くことが出来ました。

私たちの敵も私たちを誘惑し、罪を犯させ、主に従うことを止めさようとしたり、主の働きから降ろそうとします。悪魔の策略を見抜くためには、御言葉を良く知っていなければなりません。ネヘミヤは、神に裁きを委ね、神が正しく裁いて下さるようにと祈りました(14)。

 

「こうして、城壁は五十二日かかって…完成」(15)しました。これは驚くべきことです。ユダヤの「回りの諸国民はみな恐れ、大いに面目を失っ」(16)てしまいました。敵対者たちは「この工事が神によってなされたことを知った」(17)のです。

この6章から、教えられることがいくつかあります。

① 敵の策略を見抜くこと(ヘブ4:12)

ネヘミヤは、敵対者の巧妙な誘いを見破ることが出来ました。それは、ネヘミヤが単に賢かっただけではなく、神の言葉をよく知っていたからです。真理の御言葉をよく知っているなら、偽りを見分けることが出来るのです。

② 優先順位を確立すること(マタ6:33)

ネヘミヤは、城壁の再建という目標から目を離しませんでした。何を第一とするべきか優先順位を良く知っていて、そこから離れませんでした。イエスは「神の国とその義とをまず第一に求めなさい」(マタ6:33)と言われました。

③ 批判されても相手にしない(ロマ12:19)

ネヘミヤは、敵対者たちから批判されても、彼らと議論したりしませんでした。ただそれらを否定し、主に祈りました。いちいち反論せず、はっきりと否定し、主に力と助けを祈り求めることが大切です。

④ 敵の誘いにはっきりと「いいえ」と言う(ヤコ4:7)

ネヘミヤは、敵対者たちの巧妙な誘いに対し明確に「いいえ」と断りました。大切なことは、私たちが強い意思をもって、主に従うことを選び取ることです。そうするなら、敵に対して、明確に「いいえ」という態度をとることが出来るのです。

 

私たちも主から知恵と力と導きをいただきながら、主に仕え、主の働きをしましょう。ゼカ4:6

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