16.1.10.
御国の到来を求める
マタイ6:10
先週は、「主の祈り」の前半第三番目の祈りについてメッセージを分かち合いました。
今日は、「主の祈り」の前半第二番目の「御国の到来を求める」ことについてです。
1.この地上に神様の支配を実現させる
「御国」とは、アメリカや中国というような具体的な地理的領域を指すのではありません。
「御国」はギリシア語で「basileia」と言い、
「王」を意味する「basileus」の派生語で、「王としての支配、統治」という意味です。
聖書では「御国」は「神の国」とか「天の御国」とも言われ、
民族や国家を超えた神様の支配のことを意味しています。
ですから「御国が来る」とは、「神様がこの地上を王として支配する」ということです。
イエス様が教えられたことは、「私たちが地上を去って天国に入れますように」ではなく、
「この地上に御国が到来しますように」ということです。
私たちは、この地上から脱出して、天国に逃避することを求めるのではなく、
地上に御国が到来し、神様の支配が実現することを求めなくてはならないのです。
この地上に御国を実現するとは、「エデンの園」の状態にするということです。
すなわち、人間が神様のもとに立ち返り、神様と御言葉に従って生き、
神様の秩序に従ってこの世界を管理するということです。
この世界は神様に造られ、人間に管理が任されましたが、人間が罪を犯したため、
サタンによって支配されるようになってしまいました。ヨハネ12:31、ルカ4:6。
しかし、イエス様はこのサタンの支配を打ち破り、
神様の支配を打ち立てるために来られました。
イエス様は、福音宣教を始められる時に、
「時が満ち、神の国は近くなった」(マルコ1:15)と宣言なさいました。
イエス・キリストの到来によって、この世界に神の国も到来したのです。
イエス様が病人を癒し、悪霊を追い出したことは、
御国がこの地上に実現したことのしるしでした。マタイ12:28。
また、イエス様は12弟子(ルカ9:1)や70人の弟子たちを宣教に遣わされる時にも(ルカ10:9)、
イエス様がなされたように、病人を癒し、悪霊を追い出し、
神の国が来たことを宣言するようにと言われました。
そして、イエス様は十字架にかかって死ぬことによって、
サタンの国を打ち砕き、人間をサタンの支配から解放して下さったのです。へブル2:14,15。
そして、復活されたイエス様は「わたしは天においても、地においても、
いっさいの権威が与えられています」(マタイ28:18)と宣言されました。
イエス様が天に帰られた後は、神の国を地上に現す務めは、
聖霊を受けた弟子たち、すなわち教会に委ねられました。使徒1:6-8。
2.御国の民として人々を神様のもとに導く
「御国」はこの地上の人々に福音宣教がなされることによって実現します。
それは、神様がパウロを召された時に語られた言葉の中に見られます。使徒26:17,18。
すなわち、「御国」の宣教とは、人々に御言葉を伝えて、創造者なる真の神様を示し、
人々をイエス・キリストを通して神様のもとに立ち返らせることです。
私たちが救われたのは、単に自分が天国に入るためだけではなく、
「良い行いをするため」(エペソ2:10)、
「良いわざに熱心な」神様の「民」(テトス2:14)とされるためなのです。
それは、人々に真の神様を知らせ、イエス・キリストを信じることを通して、
この真の神様に立ち返り、神様に従って生きるように導くことです。
今、私たちクリスチャンは、「神の民」とされています。
しかし、本来「神の民」とは、ユダヤ人たちのことを指しています。
神様はユダヤ人の先祖アブラハムを選び、アブラハムと契約を結び、アブラハムを祝福し、
アブラハムを通して地上の全民族が祝福されると約束されました。
そして、この契約は、さらにイスラエル民族全体への契約としても継承されました。
創世12:1-3、17:1-5、18:18、22:17,18。
実は、このアブラハム契約の中には、私たち異邦人のことも含まれているのです。
神様はアブラハムに「あなたは多くの国民の父となる」(創世17:4)と言われましたが、
その中には私たち異邦人クリスチャンも含まれているのです。ローマ4:16。
かつて、私たちはユダヤ人から見たら「異邦人」であり、
「イスラエルの国から除外され、約束の契約については他国人であり、
この世にあって望みもなく、神もない人たちでした」(エペソ2:11,12)。
しかし、イエス・キリストによって、「もはや他国人でも寄留者でもなく、
今は聖徒たちと同じ国民であり、神の家族なのです」(エペソ2:19)。ガラテヤ3:7。
今、私たちは、信仰によってイスラエル(ユダヤ人)と同じ「神の民」とされているのです。
神様がアブラハムとその子孫イスラエル(ユダヤ人)を「神の民」として選ばれたのは、
イスラエル(ユダヤ人)を通して全世界を祝福するためでした。
それは具体的には、イスラエル(ユダヤ人)が全世界の人々に、創造者なる真の神様を示し、この神様の言葉を教え、神様のもとに立ち返るように導くということです。
実際、イスラエル(ユダヤ人)は、創造者なる真の神様がどのようなお方かを示し、
聖書を世界に送り出しましたし、キリストもイスラエル(ユダヤ人)から生まれ出ました。
私たちが「神の民」とされたのも、人々に創造者なる真の神様を示し、
人々をイエス・キリストを通して神様のもとに立ち返らせるためです。Ⅰペテロ2:9。
私たちが神の民、御国の民とされたのは、単に私たちが天国に行くためではありません。
この地上の人生は、私たちが天国に入るのに相応しい者となるために、
人生の様々な試練を通して修行を受けるためのものではありません。
御国を実現するため、人々をキリストを通して神様のもとに立ち返らせるためです。
家庭、学校、職場、地域、この町に、この国に、御国をもたらす者となりましょう。
Filed under: 伊藤正登牧師