23.6.18.

今日、家庭における父親の存在感や権威は、薄れてしまっているかもしれません。しかし、日頃のお父さん方の労苦に対して、心からの感謝をささげたいと思います。エペソ6:1-4には、父親に対する態度と父親の務めについて書かれています。

1.父親への尊敬と従順

エペ6:1-2。「子どもたち」に対して、「主にあって両親に従いなさい」と言われています。まず、私たちは、父親に聞き従わなくてはなりません。その理由は幾つかあります。

① 正しいことだから

パウロは、両親に従うこと理由として、「正しいことだからです」と言っています。父親を敬い、父親に聞き従うということは、人間として「正しいこと」、当然なことのです。また、父親を敬い、父親に聞き従うということは、「主に喜ばれること」、すなわち主の御心であり、神の前にも「正しいこと」なのです(コロ3:20)。1節に「主にあって」という言葉が付けられています。「主にあって」とは、「信仰のゆえに」、「信仰によって」、「主を信じる者として」という意味です。私たちが父親を敬い、父親に従うのは、自分の思いや感情によってではなく、「信仰のゆえに」、「信仰によって」、「主を信じる者として」なのです。父親は、神によって、子どもたちの上に立てられた権威者です。父親は、神の代理人として、子どもたちを養い、育て、守り、教え、導いているのです。主なる神を信じ、神に従う私たちが、神の代理人として立てられた父親を敬い、父親に聞き従うということは「正しいこと」のです。神が定められた秩序に、信仰によって従い、父親を敬い、父親に聞き従うのです。

② 主の命令だから

父親を敬い、父親に聞き従うことは、何よりも主の命令です。2節でパウロは、父親を敬い、父親に聞き従う根拠として、十戒の「あなたの父と母を敬え」(出エ20:12)という命令を引用しています。パウロは、「これは第一の戒め」であると言っています。この戒めは、十戒の中の第5戒となっています。十戒の第1戒から第4戒までは、神との関係における戒めですが、第5戒からは人間関係における戒めとなっています。そして、人間関係における戒めの中で、第5戒は「第一の戒め」となっています。つまり、父親を敬い、父親に聞き従うということは、人間関係の中で、第一に守るべき大切な命令なのです。Cf.レビ19:2-4。またパウロは、この命令は「約束を伴ったものです」と語っています。その約束とは「「そうしたら、あなたはしあわせになり、地上で長生きする」という約束です」(3) 父親への尊敬と従順は、幸せと長寿をもたらすもの、神の大きな祝福を招くものなのです。

2.父親の務め

エペ6:4。パウロは、父親たちに対しても、父親の務めを語っています。

① 子どもを怒らせない

パウロは、「子どもをおこらせてはいけません」と教えています。コロ3:21では「父たちよ。子どもをおこらせてはいけません。彼らを気落ちさせないためです」とあります。この「おこらせてはいけません」は、「いらだたせてはいけません」とも訳されます。また「気落ちさせないためです」は、口語訳聖書では「心がいじけるかもしれないから」となっています。ですから、子どもを怒らせないとは、何でも子どもの好き勝手にさせて、不機嫌にさせないということではなく、「いらだたせない」こと、「いじけたり、ひねくれたり、素直でなくならせたりさせないこと」です。それは、父親が言っていることが矛盾している時、約束を守らない時、あつかいが不公平でえこひいきされる時、いつも小言を言われ責められる時、子どもの話を全く聞いてくれない時、一方的に命じられる時、暴力をふるわれる時等です。子どもの心を傷つけ、その心が曲がってしまわないように気を付けなければなりません。

② 主の御言葉によって育てる

パウロは、父親たちに「主の教育と訓戒によって育てなさい」と教えています。父親の大切な務めの一つは、働いて生活費を稼ぎ、家族を養うことです。しかし、仕事第一となり、家庭が無視されてしまうなら、家庭は崩壊してしまうでしょう。一生懸命働いて、家族を養うだけではなく、「主の教育と訓戒」による教育が必要です。「主の教育と訓戒」による教育とは、御言葉による教育です。世の中には、子育てや子どもの教育についての情報があふれています。あまりにも多くの情報があり過ぎて、かえって混乱し、迷ってしまいます。父親は、自分の考え、この世の教えではなく、主の御言葉を教え、御言葉によって、子どもたちを教育することが命じられているのです。父親は家庭では祭司であり、子どもたちが御言葉に聞き従うように導くのです(申6:4-7)。ここで大切なことは、父親は子どもたちに御言葉に聞き従うことを教えるだけではなく、自分自身が御言葉に聞き従う者となり、子どもたちに模範を示すということです。父親が自ら率先して御言葉に聞き従い、子どもたちに模範を示さなければなりません。

まとめ&結論

聖書は、私たちに父親を敬い、父親に聞き従うようにと命じています。それは、人間として、クリスチャンとして正しいことであり、神に喜ばれることです。父親に対する尊敬と従順は、自分自身に幸せと長寿をもたらすものです。

また父親は、子どもたちをいらだたせたり、いじけさせてはならないと命じられています。

父親は、子どもたちに御言葉に聞き従うように教え、自らも御言葉に聞き従う者となり、模範を示さなければなりません。神がご自身の代理人として立てられた父親を敬い、父親に聞き従いましょう。

子どもたちに御言葉に聞き従うように教えると共に、自分も御言葉に聞き従いましょう。

そして、何よりも父なる神に感謝し、聞き従う者となりましょう。

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