19.8.11.

「御霊の賜物」(1)について、「ぜひ次のことを知っていていただきたい」と言われています。ですから、私たちも「御霊の賜物」について知らなければなりません。

1.御霊の賜物とは何か

① 聖霊による超自然的な現れ

「御霊の賜物」とは、「御霊の現れ」(7)のことです。つまり、「御霊の賜物」とは、聖霊による超自然的な現れまたは能力であると言えます。「御霊の賜物」は、私たちが生まれながらに身に着けている能力ではありません。また、私たちが学習や訓練によって身に着けた能力でもありません。「御霊が」「みこころのままに、おのおのにそれぞれの賜物を分け与えてくださる」(11)のです。「御霊の賜物」は、特別な人だけではなく、誰にでも与えられるものであるということです。「賜物」という言葉は、ギリシヤ語では「カリス」という言葉が使われています。「カリス」とは、「恵み」という意味で、「一方的に無条件に与えられること」です。「御霊の賜物」は、聖霊によって、一方的に、無条件に与えられるものです。

 

② 教会の益となるために与えられる

7節には、「御霊の賜物」が与えられる目的が明確に書かれています。それは「みなの益になるため」です。「みな」とは、「キリストの体」、クリスチャンの集まりである教会のことです。「御霊の賜物」は、教会の「益になるため」に与えられるのです。教会の「益になるため」とは、「教会の徳を高めるため」(Ⅰコリ14:12)ということです。「徳を高める」とは、「建て上げる」という意味のギリシヤ語が使われています。教会を建て上げるとは、教会のメンバーを励まし、信仰を強め、教会をキリストの体として一つとるように成長させるということです。「御霊の賜物」は、個人にではなく、教会に与えられたものです。

2.御霊の賜物の種類

パウロは、「賜物にはいろいろの種類があります」(12:4)と言っています。そして、8~10節に、9つの「御霊の賜物」が挙げられています。

① 啓示の賜物

a) 知恵のことば

「知恵のことば」とは、単に人間的な知恵や賢さではなありません。教会に起こる様々な問題や必要に対して、何が神の御心であるか、どうすることが最善であるかを示すことです。

b) 知識のことば

「知識のことば」とは、単に学習や経験によって得られる人間的な知識ではなく、神にしか知ることの出来ない隠されている情報のことです。ある人の病、悩み、問題、考えていること、祈り求めていること、状況などが示されます。遠くにいる人の困難や危険が急に示されて、祈りに導かるということもあります。

c) 霊を見分ける力

「霊を見分ける力」とは、それが神によるのか、人間によるのか、悪魔によるのか、良いことか、悪いことかを区別し、はっきりと識別することの出来る能力です。今日、様々な教え、また使徒や預言者と言われるような人たちが現れています。私たちは、それらを見分けていかなければならないのです。Ⅰテサ5:21Iヨハ4:1

② 発言の賜物

a) 預言

「預言」は、単に未来を予告することではなく、神からメッセージを預かり語ることです。「預言」は、「徳を高め、勧めをなし、慰めを与え」(14:3)、「教会の徳を高めます」(14:4)。「預言」は、単に人の罪を指摘したり、悪を責めることではありません。ですから、その「預言」が神からのものかどうか「吟味しなさい」(14:29)と言われています。「預言」は、特別な人だけではなく、聖霊に導かれるなら誰でも出来るのです(14:31)。

b) 異言

「異言」とは、聖霊によって与えられる言語です。「異言」は、知性を通さずに語る言語なので、私たちには理解することが出来ません。「異言」は、個人の信仰を建て上げるために個人的に用いられるものと、「異言を解き明かす力」によって教会を建て上げるために用いられるものがあります。

c) 異言を解き明かす力

「異言を解き明かす力」とは、教会における公の集会で、「異言」が語られた時に、その「異言」が何を語っているかを「解き明かす力」です。「異言を解き明かす力」は、「異言」の翻訳ではなく、解釈であり、説明です。「異言」が解き明かされることによって、「教会の徳を高める」(14:5)ことが出来ます。解き明かされた「異言」は、「預言」の役割をします。

③ 力の賜物

a) 信仰

「信仰」の賜物とは、神の力ある大いなる御業を受けるため、または行うために与えられる特別な「信仰」です。一般的な信仰とは区別されるものです。「信仰」の賜物とは、どんな困難や障害があっても、神が必ず働いて、御業が現わされると確信することです。

b) いやし

「いやし」の賜物とは、超自然的に病気を治す力です。クリスチャンはみな信仰をもって病人のために祈る権威が与えられています(マル16:17-18)。しかし、この「いやし」の賜物は、聖霊によって導かれる特別な働きです。

c) 奇跡を行う力

「奇跡を行う力」とは、超自然的なことを起こす力です。聖霊の力によって、水を葡萄酒に変えたり、パンを増やしたり、嵐を静めたり、悪霊を追い出したり、死人をよみがえらせたりすることです。

 

教会は、キリストの体であり(エペ1:23)、一人一人がその体の各器官です(Ⅰコリ12:12,27)。それぞれの体の器官は異なっていて、それぞれに働きと役割があるように、私たち一人一人もキリストの体の中でそれぞれの働きと役割があるのです。「御霊の賜物」を用い、互いに仕え合い、教会を建て上げていきましょう(Ⅰペテ4:10)。