16.5.8.
神を敬う女ルデヤ
使徒16:11-15,40
パウロはピリピで「テアテラ市の紫布の商人で、神を敬う、ルデヤという女」(14)に出会いしました。
ルデヤは、ヨーロッパにおける最初のクリスチャンとなり、彼女の家が伝道の拠点として用いられ、
やがてピリピの教会へと発展していったと言われています。
ルデヤは、どのような女性だったのでしょう。
1.神様を第一にする
ルデヤは、ルデヤ地方の「テアテラ市の紫布の商人」でした。
「紫布」は、テアテラ市の特産であり、非常に高価で、金持ちや王だけが着用するもので、
ギリシャ・ローマ世界でも有名で、熱心に求められていました。
ルデヤは女性でしたが、テアテラ市から高価な紫布を輸入して商売をする実業家でした。
ですから、彼女の生活は、仕事や付き合いなどで、多忙であったと考えられます。
しかし、ルデヤは、仕事中心の生活をしていたのではありませんでした。
ルデヤは、「神を敬う」人、すなわちユダヤ教に改宗した異邦人でした。
それで、安息日になると、川岸の祈り場に来て、神様に礼拝をささげてしたのです。
ルデヤは、仕事で忙しく働いていたことでしょう。妻として母としての役割もあったことでしょう。
しかし、彼女は、忙しさに流されて、大切なものを見失うことは、決してありませんでした。
ルデヤは、何が大切で、何が価値あることで、何を第一としなければならないか知っていました。
ルデヤにとって大切で、価値があり、第一とするものは、神様ご自身でした。
ルデヤは、神様を第一とする女性であったのです。
ルデヤは、忙しさや疲れを理由に、神様をなおざりにするようなことはありませんでした。
どんなに忙しくても、神様を礼拝することを忘れることなく、神様を礼拝しました。
多忙なスケジュールの中でも、ルデヤは、神様のために時間を割き、ささげたのでした。
ルデヤは、神様を自分の生活の中で第一にする人でした。
今日、私たちの生活も本当に忙しいものです。
しかし、その忙しさに流されて大切なものを失ってしまわないように、
ルデヤのように神の国と神の義を第一としましょう。
2.みことばを聞いて受け入れる
パウロは、川岸の祈り場に集まっていた女たちに話しかけました。
ルデヤは、パウロの語る事にじっと耳を傾け聞いていました。彼女には聞く耳があったのです。
そのため、「主は彼女の心を開いて、パウロの語る事に心を留めるようにされた」(14)のです。
そして、イエス様を信じ受け入れ、「彼女も、またその家族もバプテスマを受けた」(15)のです。
御言葉を聞く際に大切なことがあります。
① 御言葉に対する飢え渇きをもって聞く
ルデヤは、紫布の商人として、その商売に最も関心を持っていたはずです。
しかし、ルデヤは、この世の事や富に執着して、御言葉に対して無関心になってしまったり、
御言葉を軽んじることもなく、御言葉に対する飢え渇きがあったのです。
御言葉を聞く際には、御言葉に対する飢え渇きが必要です。
② へりくだって聞く
ルデヤは、高級な紫布の商売をする実業家で、その仕事柄、名誉も富もあったことでしょう。
しかし、ルデヤは、プライドによって、心を固く閉ざしてしまうことはありませんでした。
ルデヤは、へりくだってパウロの語る御言葉に耳を傾けたのです。
御言葉を聞く際には、へりくだって聞くことが大切です。
③ 素直な心で聞く
人は耳障りの良い言葉を聞きたいもので、厳しいこと、犠牲を伴うことは、聞きたくないものです。
しかし、ルデヤは、自分にとって都合が良いか悪いかに関わらず、
それが自分の仕事の利益になるかどうか関わらず、パウロの語ることに素直に耳を傾けました。
御言葉を聞く際には、どんな御言葉に対しても素直に聞くことが大切です。
私たちが御言葉を聞き受け入れようとしなければ、聖霊も働くことは出来ません。
ルデヤは、御言葉を聞いて、それを受け入れ、祝福されて、実を結ぶ人となりました。
3.福音宣教の働きを支える
ルデヤは、福音宣教の働きを支える者となりました。
彼女は、紫布の商人という職業にとどまったまま、福音宣教の働きを支える人になったのです。
ルデヤは、福音宣教の働きをするパウロのために、自分の家を開放しました。
ルデヤは、パウロたちを煩わず、心から歓迎し、親切にもてなしたことでしょう。
パウロたちは、ルデヤの家に滞在し、そこを拠点にして宣教活動をしたと考えられます。
ルデヤの家で、礼拝や集会が持たれるようになったのではないでしょうか。
やがて、ルデヤの家は、ピリピの教会として用いられるようになったと言われています。
この後、パウロとシラスは、捕えられ、鞭を打たれ、牢屋に入れられ、鎖に繋がれてしまいます。
しかし、大地震によって、牢屋の扉が開き、鎖も解かれてしまいました。
この奇跡によって、牢屋の看守とその家族も、イエス・キリストを信じて、バプテスマを受けました。
彼らも、ルデヤの家で行われていた礼拝や集会に加わるようになったのではないでしょうか。
パウロたちが牢獄から帰った時も、ルデヤは恥とは思わず、彼らを自分の家に迎え入れました。
ルデヤは、福音を恥と思わず、パウロたちと苦しみを共にする者であったのです。
パウロは、第三回伝道旅行の際にも、ピリピを訪れています。使徒20:6。
また、パウロは、ローマの獄中から、ピリピの教会に手紙を書いています。ピリピ1:1。
ピリピ教会は、パウロに献金を送り、初期の頃からパウロの伝道を支援しました。ピリピ4:15-18。
ピリピ教会は成長して、物質的にも、精神的にも、パウロの宣教を支援し、模範教会となりました。
このピリピの教会の礎となったのが、ルデヤの家であったと言われています。
ルデヤは、神様の働きのために豊かに用いられる者となったのです。
紫布の商人ルデヤは、神様を第一にする人、御言葉を聞いて受け入れる人、
そして、福音宣教を支える人でした。
私たちも、どのように忙しくても、神様を第一にしましょう。
また、どのような御言葉であっても、御言葉を聞き、受け入れましょう。
そして、それぞれの立場で、福音宣教の働きを支えていきましょう。
Filed under: 伊藤正登牧師